営業スキルを学ぶには実践的な実例を載せた営業本をおすすめします
商談で効果的に相手の心を開く営業スキル「レコグニション・スキル」
多くの営業マンが「相手との距離を縮める為」に行う事は、商談前の「雑談」です。
これが苦手な人は多いです。実際の内容を同行で聞いていますと、顧客相手なら「お休みはどうされていました?」「巨人が勝ちましたね」「また美味しいラーメン屋を見つけましたよ」などの話題が雑談のネタとして定番です。
しかし初対面ではそうはいきません。無理矢理「今日は天気が良くないですね」とか話しかけても「そうですね」で終わり。相手も「定石の営業トークをする並の営業マンだな。時間の無駄だから、早く話しを済ませてくれないかな」と感じてしまいます。
レコグニション(Recognition)とは「認める」「認識する」という意味です。
しかし営業スキルととしてのレコグニション・スキルは「相手に関心を示して心を開いてもらう」事です。
このスキルが簡単に学べるおすすめの営業本が、Amazon電子書籍Kindle「3000人の営業同行の現場から~パート①」です。
ある営業マネージャーと顧客への定期訪問に行きました。年配の看護師長さんでした。
お会いして書類を渡して話し終ると、このような会話になりました。
「あれ、いつものスヌーピーのペンじゃないですね。ミッキーに変えられたんですか?」
彼は看護師長の胸にささっていたペンが変わって居た事に気づいて尋ねました。
「ああ、これね。先週孫がディズニーランドに行ってお土産に買ってきてくれたの」
この瞬間いつも厳格な印象の看護師長は「おばあちゃんの顔」になっていました。そして会話は全く雰囲気が変わり、スムースになりました。
別の初回訪問の事例です。
中国地方の会社を訪問した時、名刺交換すると「安徳(あんとく)さん」と言うお名前。
「やんごとないお名前ですが、壇ノ浦にご縁がありますか?」と聞くと、固そうな印象だった方が一転して嬉しそうな表情になり「はい、一応なんかそのような言い伝えがありまして・・」と。
歴史好きにはたまらないと思いますが、山口県の壇ノ浦には源氏・平氏の戦いで平氏が敗れ、幼い安徳天皇が海に飛び込み亡くなった故事があります。一説には安徳天皇は生きていたと言うお話で、どうやら彼はその末裔らしく「そういう名前の隠れ里がありまして・・」と、そこから話しが随分弾み、商談はとてもスムースに進みました。
初回の飛び込み訪問にも関わらず、見積書を提出する事になりました。
聞いて欲しい話し・自慢したい話しに関心を示す
人には「誰かに聞いて欲しい・自慢したい話し」が一つや二つ必ずあります。
学生時代の部活での栄光。やんちゃしていた頃の話し。モテていた話し。海外留学していた事・・・
「これらを聞き出して『よいしょする』のでは、ありません」これでは、こちらの卑しい下心が伝わり、相手も心を開きません。
これらの質問や話題は「どんな人なんだろう?相手の事をもっと知りたい」と、相手に関心を持つほどにどんどん心に浮かんでくる事なのです。
聞きたい質問・気になる事がらはどんどん出てきます。
・歩き方から柔道をしていたと分かる人。
・太ももや腕、クビががとても太く、ラグビー選手だったかと思う人。
・やたらに日焼けしている人。
・サングラス焼けをしている人。
・右腕だけ日焼けしている人。
・言葉じりに大阪弁(あるいは分かり易い特徴的な方言)が混じった。
気になりませんか?この人は何をしている人だろう?仕事以外で何かしている人だろうか?もしかしたらその道の著名人?
出身地が同じ、その地にゆかりの話しや知人がいる、旅行でそこに行ったことがある、というだけで人はとても心を開きます。
レコグニション・スキルで相手の心を開き、こちらの話を聞く心の準備をしてもらう
下心見え見えの営業マンは、「よいしょ」「お追従(おついしょう)」「お世辞」で相手を持ち上げようとしますが、毎日営業マンに会っている担当者らは、それを聞くとうんざりします。
心から相手に関心を示す事で相手も心を開いてくれます。そして心がすっかり和らげられ、警戒感が解除され、こちらのお話しを聞く準備ができるのです。
相手の肩書を外すことで商談はスムースに進みます
先ほどのミッキーマウスのペンを持っていた年配の看護師長。彼女は職場で孫との楽しい思い出を思い浮かべた事で、すっかりおばあちゃんの顔になりました。
その結果心が和らぎ、商談がスムースに進みました。
別の事例です。
4回通っても「ああ」とか「うん」としか話さない無口で無表情な部長と、「息子さんとのベイ・ブレードというおもちゃの話」をした時の変貌ぶりには驚きました。
「どの組み合わせが最強か」「新モデルの特徴」などについて15分ほどみんなで興奮して話しました。
この時も部長という肩書が外れ、父親の顔になって笑顔で饒舌になりました。
この時も「いやあ、私のつまらん話につきあってもらってすみません。貴重な時間をつぶさせたお詫びに、担当者達を来週集めておくから、御社の商材の説明会をしてくれるか?」と言われ、翌週説明会になりました。
肩書を外すには「父親・母親・祖父母の顔」になってもらいます。そのためには彼らに子供や孫の事を話してもらいます。
これも下心で聞き出すのではなく「心からこの人の日常生活、この人の素の性格に関心を持つ」事で質問がどんどん出てきます。
ある事務長との難しい商談後に片づけ乍ら「事務長も若い頃はやんちゃだったんじゃないですか?」と振ってみました。
すると「いやいや、そんなことは・・・ありますよ」と言い出し、先方の部下も驚いて「事務長・・聞いたことないですよ。そうなんですか?」と言い出し、そこから半時間も事務長の昔の武勇伝を聞きました。
年配の男性は「昔はやんちゃだったと思われたい」願望があると、心理学の本で読みました。その通りでした。
この時も肩書が完全に外れていました。
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